魔夜峰央・木原敏江・川原泉・青池保子

妖怪缶詰 (第1巻) (白泉社文庫)

妖怪缶詰 (第1巻) (白泉社文庫)

 読みなおしです。
 こんなに美しい表紙なのに…。皆さんにお見せできなくて残念です。本当に綺麗な豪華な金刷りの表紙なんだよ。ラシャーヌ!でお笑いの才能を開花させるまで、彼は妖怪物を多く描いていて、それら傑作を集めた作品集です。いいよね、缶詰って。ギャグという方向性を見つけた後の妖怪物も、普通に面白いのですが、ギャグや少年愛が撒き散らかされていて、純粋に妖怪物を楽しめない気がするので、個人的には、ギャグに走る前の古い妖怪物が好きです。昔の絵はおどろおどろしかったですし。特に妖怪二口女は傑作。多分魔夜峰央が今まで描いた妖怪漫画で最も優れていると言ってよいのでは?ちなみに他には、ギャグが相当入っていますが、「パンドラキン」という作品が怖いです。これは、何の変哲もないギャグなのに、最後に大どんでんがえしをしていて、ギャグの中に混じった小さなホラーが、凄く怖く感じます。ギャグを利用して、逆に怖く出来た感じがして好きです。
 あと、この作品にはみーちゃんの考える妖怪論みたいのも載っていて面白いです。妖怪はこんな形でこの世に存在するのではないか、みたいな。部分的に賛同できないところもありますが(でも特に賛同できない理由はない)、凄く興味深いと思います。
  背表紙がアンジェリークみたい☆とか言ってみたりするのですが、フランス革命のお話しです。でもまだ一巻しか読んでないからあんまり言えないけど。木原敏江は良い女の子描くよね。割と真面目な話なのですが、どうしても一ページにあるかないか分からない程度の、軽度のギャグにどうしても目がいってしまいます。彼女のギャグや、手抜きの絵が物凄くツボに入ってしまう…。もう作者の自画像からツボだし。あと文章にやたらハートをつけるところとか、大好きで大好きでしょうがない。漫画を取り出して、「ここが私のツボなの、分かる!?超面白くない!?」とか道行く人に説明して、問い詰めたいくらいツボです。
 木原敏江は、比較的絵が古くなっていない方だと思います。まぁそりゃ現代ちっくな絵ではないけれども、いがらしゆみこみたいに、「ああ、昔の漫画家だなぁ!」って思うような絵じゃない。これで60歳だなんて、言われるまで分からない。何か、私の認識している60歳は漫画を読まないし、むしろくだらないものとして否定するようなイメージなので、そうゆう人と同年代の人が、こんなに新しい感覚で漫画を描いていけるというのが物凄く不思議…。
  ナイス、青頭巾ナイス!!主人公をめぐって醜い争いを繰り広げる女達が全然憎めない。むしろ可愛い。人間の心情とかを凄く鋭く捉えていると思います。いや、コレくらい捉えてる人はいくらでもいると思うんですが、こうやって端的に表現出来る人はあまりいないと思うのですよ。夢の碑を文庫で読む人は、是非青頭巾を!「とりかえばや異聞」も楽しいけどね。素敵な日本歴史浪漫ー。時代考証もしっかりしているそうな。
 
サラディンの日 (秋田文庫)

サラディンの日 (秋田文庫)

 文庫版、表紙がきもい…。
 十字軍の話です。サラディンっていうのはイスラムの敵。世界史に出てきた気がするけど忘れた。背景は大変にシリアスだけれども、話自体はコメディータッチで進みます。全く性格が違う十字軍の修道騎士三人が任務を命じられて…っていう話です。禁欲なのに、主人公が禁欲しきれない様が楽しいです。女の色気に惑わされそうになりながら、汗だらだらで必死で耐える主人公。この漫画でも当然、あくまで女は舞台装置でございます。さすが青池保子。でも彼女、「王城」ではどうして中々女をうまく描ききってます。女を描くのが苦手だから描かないわけではなく、どうやら完全に趣味で描いていない様子。「王城」みたいな、史実が元にある話なら、女を実にうまく描いてます。すてきー。
 
中国の壷 (白泉社文庫)

中国の壷 (白泉社文庫)

 これも読みなおしです。凄いストレートなタイトルです。まさに中国の壷です。この話にはあと、ドラゴンボールとか出てきます。いや、嘘です、でも半分嘘じゃないです。中国の壷も物凄く良いけれども、「殿様は空のお城に住んでいる」と「Intolerance−あるいは暮林助教授の逆説」のが好きです。特に後者が…。主人公いいね。
 
何か腹痛いからもう書くのやめて寝る。