青春白書&銀晶水&エロイカ

☆青春白書 (文庫版全4巻)
青春白書 (1) (講談社漫画文庫)
 早稲田のブックオフ上原きみ子(もちろん文庫)がやたら売っていて、綺麗なのに全巻百円だった。よって四巻まとめ買い。四巻の後ろに年代別作品リストがあって便利。
 やはり、とにかく設定がやたら凄い漫画だった。これぞ皆が心に抱いている、少女漫画の典型的パターン。普通の女の子が、ある日突然フィギュアスケートを履いて、選手達の目の前で滑ったらいきなりトリプルアクセルどころか四回転。マジかよ。まぁ、そんな感じで凄く注目される存在となるのですが、何か色々困難が待ち受けすぎていて。そして、主人公に対する誹謗中傷の声だけはやたらリアルに描かれていましたw。筋は、もうやっぱり、行き当たりばったりで描いているのが見え見えでした。重要っぽく登場した人物がいつの間にか消えていたり、人物の性格があまりにも変わりすぎたり、とにかくその場その場で続けるのが精一杯だったんだなぁって感じで。彼女の漫画の男の子のキャラクターの薄さは、凄くいがらしゆみこと通じるところがあります。あと、思うのが、やっぱり精神論的なものを描かない作者は長持ちはしないのかもしれない。後世に渡って語り継がれるとかない。大ヒットは飛ばせても、上原きみ子くらい偉大になったり、ときめきトゥナイトくらい面白くて長続きしないと、なかよしりぼんちゃお系の漫画家は残っていってないような。里中満智子も最近あやうい。今文庫化してるのって、昔の花ゆめ、LaLa、少コミばっかじゃね?偏見?90年代初頭のりぼんは別ですが。あれは素敵だったと思う。
 
銀晶水
 多分、木原敏江は、キーワード「西洋、はかないホモ、不思議」でかきたかったんだろう、きっと…。百円でよかった。絵がびっくりするほど怖い。登場人物全員目がいっちゃってる。1988年の作品だから、多分少女漫画のお目目キラキラから脱しようとして、こんな怖いことになったんじゃないかと。
 同時収録の「黄昏のシンデレラ」はサイコサスペンスですが、何か実験的な香がする気が。失敗作かなw
 次に載っている、「花かんむりの牢屋城」。これは楽しい。彼女特有の意味の分からないスピードで突っ走っているし、ギャグもふんだん。何よりも始まり方が凄くいいなぁ。終わり方も。この人は始め方凄くうまい。
 最後の「夜想曲」も頭がぶっとんでた。エレベーター乗ったら平安時代とか意味が分らないから!!
 私は木原敏江のギャグが異様に好きなので、意味の分からない展開に持ってきてもらえる程笑いが止まりません。ちなみに、大和和紀のテンションと正攻法なギャグも物凄い好きです。二人とも天才的。木原敏江の漫画の主人公の女の子は、全員同じアンジェリク的な元気おてんば娘ですが、普通に凄く好感が持てます。何かどんな人物を主人公に据えるかで、作者の性格が分らないこともない気が。
 ちなみに私は木原敏江をショートカットの女王と名づけたいです。ショートカットって、短髪じゃない方の意味で。彼女は、内容がごちゃごちゃしていたり、見せ場がいっぱいある漫画も、勢いで一気に、違和感無く描ききってて、本当に凄いと思う。他の人が同じ漫画を描いたら、多分ごちゃごちゃして読者の頭が混乱してしまうだろうに。
 
エロイカより愛をこめて (コミックス11、12)
エロイカより愛をこめて (11) (Princess comics)エロイカより愛をこめて (12) (Princess comics)
相変わらず青池保子は神。少佐面白すぎ。かっこよすぎ。この漫画を知らない貴方は確実に損してます!笑わせるための展開だけにも、物凄く考えて作品を書いている事が分って、流石って感じです。あと、11巻にして、イブの息子たち的パターン、すなわち第一話のエロイカパターンがでてきて面白かった。この作者、話一個に絶対少佐と伯爵の見せ場入れてる。これもまた凄い。いやぁ、もう頭いいなー、青池保子。ほれそう。サブキャラクターもイブの息子たちで鍛えたギャグで冴えてる冴えてる。のんきなイギリス人ロレンスのキャラクターなんて、もう本当に素敵。こんなにうまく描ききるのは本当に凄いと思う。
 
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