秋里和国&川原泉&メロディ

Tomoi (小学館文庫)

Tomoi (小学館文庫)

 ネタバレしてます。気をつけて下さい
 一時期、「秋里和国弐」になってた時期に出た文庫本なので、名前がそうなってるみたいです。今は秋里和国に戻ったんだっけ?
 男×男の漫画ですが、腐女子が喜ぶホモ漫画じゃなくて、普通にゲイの一生を描いた漫画です。女嫌いの日本の医者、友井がアメリカにわたって、そこで自分のゲイという性質を知って、運命の恋人と出会いながらも、それはエイズの壁に阻まれたり、その後に出来た新しい恋人とは死に別れたりして、最終的にはアフガニスタンに軍医として渡り、そこで自分が守るべき少女を見つけて、戦地で安寧の時間を得たと思われるのですが、最終的には、少女を爆撃で失い、友井自身も死んでしまいます。
 この漫画が描かれた時代は、まだAIDSの存在とかが知られていない時代なので、徐々に迫ってくる謎の奇病に対するゲイたちの恐怖がとてもリアルです。それにしてもエイズの男二人と付き合った友井は、エイズにならなかったのかな…?ゲイである、というだけで苦しんで生きてきた友井の最後の死のシーンは、青空が冴え渡る、とても爽やかな物になってます。戦地において空を見上げる時、いつも友井は爆撃を心配していたのですが、彼が連れている少女は、空の青さに心を打たれて空を見上げていました。それから、青い空は、友井にとって開放?の象徴みたいなものみたいになっていたので、青空の下で死んで、やっと友井は開放されたみたいです。ヨカッタネ!まぁ、名作でした。ゲイは読め。
 
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ゲートボール殺人事件 (花とゆめCOMICS)

ゲートボール殺人事件 (花とゆめCOMICS)

 始まりと終わりが素晴らしい。
 色恋沙汰や同い年の友達と遊ぶことより、近所のじじばばとゲートボールをするのが生きがいの、いかにも川原泉的な女子高生が、ある日歩いていたらヤクザの跡取り息子、殺し屋、マル暴の警察官、を次々に踏んでしまって、という良く分からない始まりです。踏むなよ。ゲートボールについて詳しくルール説明されてるので(少女マンガなのに…)、ゲートボールに興味ある人はお薦め?
 川原泉の世界には悪人はいないので、ヤクザの跡取り息子も、殺し屋も凄く間が抜けていて素敵です。面白かったのですが、川原泉は、私はこうゆう長い作品より短編が好きです。
 
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銀のロマンティック…わはは (花とゆめCOMICS)

銀のロマンティック…わはは (花とゆめCOMICS)

 始まりが素晴らしい。天才かと思った。最初の縦割りのコマでは、優雅にスケートをすべる男女が描かれており、そこには「−−彼らは織る。銀色に透明な、真のロマンティック・スケートを・・・」と、川原泉にしては珍しく、超典型的な、少女マンガチックの言葉が書いてある!と思った次の瞬間のコマでは、「インビンシブルのロマンティック・スケートを… なんちゃってなんちゃってなんちゃってなんちゃって…」とあり、更にその下には、さっきは優雅に美しく描かれていた男女二人が、二頭身の間抜けなキャラクターになって、「わははー」といいながら間抜けに向こう側にすべりさって行きます。凄すぎる。天才かと思った。
 話は、フィギュアスケートド素人の初対面の男女二人が、何故かいきなりトリプルアクセルかましてしまい、そのままスカウトされて、安易に日本一になってしまう、という話です。でも私、これとあらすじそっくりな漫画を上原きみ子って人の青春白書って漫画で読んだことあるんですけど、あんまり気にしない事にします…。優雅に踊るシーンが、何故か全て二頭身で描かれており、間が抜けた顔でクワドラブルを決めるシーンが素敵です。うまくごまかしてるな、でも素敵だぜ!終わりは普通にしんみりエンドです。この人はしんみりエンドがお上手です。
 
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☆メロディ 三月号
 よしながふみの大奥楽しいね。よしながふみ、楽しいからもっと読みたいなぁ。山口美由紀の読みきりは、個人的にはあんまり好きじゃありませんでした。でも絵は綺麗で素敵でした。中学生の頃、喜多尚江が結構好きだったのですが、また読みたくなってきた。そしてパタリロ源氏物語!が浮いていた…。光源氏がバンコランなのに、悪役がベールゼブブなのね。ヒューイットも出てきて嬉しい。あと、全員の顔が子供化している気がするんですが、これは仕様なのか、それとも絵柄が変わっちゃったのかな。
 
 ところでパタリロ!は77巻まで出てて一応少女マンガ界では最長って言われているんですが、室山まゆみの「あさりちゃん」は76巻まで出ててずーっと描き続けてるのに対して、ミーちゃんは西遊記!とか家政婦!とか源氏物語!とかを描いているわけだから、記録抜かされるんじゃね?そうゆうのも全部入れていい、っていうのなら、ミーちゃんの勝ちだけど…。でも二つとも連載年度は同じくらいなのかな。
 パタリロは愛しているけれども、「あさりちゃん」は割りと私の中で神なので、室山まゆみになら抜かれてもいいと思ってます。あさりちゃんは、本当に楽しい。ギャグシーンとか、もう超工夫されてるし、ぶっちゃけパタリロと比べものにならないと思う。あと作者達(室山まゆみは姉妹漫画家)が凄く良い人だし。それでもパタリロは知的パターンとか繰り返して根強い人気を誇り続けているわけだけれども…。あさりちゃんは、日本の名作漫画に入れて良いと思う。100選とかに入れるべき。あさりちゃん研究進んでもいいはず。とか言いながらあんまりあさりちゃん持ってませんけどね?もっと文庫化すればいいのに、と思うのですが、未だに「小学〜年生」とかで連載されているものとしては、あんまりするわけにはいかないのかなぁ。
 
あと、チョコ下さい。